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One Week //One Band Perufme 『チョコレイト・ディスコ』

One WEEK //One Band Perfume『チョコレイト・ディスコ』

パトリック・St・ミッチェル(Patrick St. Michel)

『チョコレイト・ディスコ』がPerfumeを救ったのは周知の事実だ。
 2007年の2月に発売されたこの曲はJポップ・アイドル、木村カエラの目に止まり、彼女は自分のラジオ番組内でこの『チョコレイト・ディスコ』をヘビロテし、Perfumeの3人の存在を世間に知らしめた。

 その『チョコレイト・ディスコ』をラジオで聴いたあるコマーシャルディレクターが次のコマーシャルにPerfumeの曲を使おうと決めた。それがあの全国的なリサイクルプロモーションのCMだ。
 この公共サービスのCMがPerfumeをJポップ界のトップに押し上げることとなった。もしこの『チョコレイト・ディスコ』が彼の耳に入ることがなかったら今のPerfumeは無かっただろう。

『チョコレイト・ディスコ』は全国の人々に知れ渡るようになり、いまやPerfumeの代表曲の一つとして知られることとなった。

 この曲は、その当時、名張市という山岳地帯の町に住んでいた私の2年間に重要な意味を与えてくれることとなったのだ。
 この町は美しい家並みの風景と日本における最大級のオオサンショウウオの生息地として知られているわりには、あまりにエンターテイメントが少なかった。
 
 ボーリング場、商店街、ラジコン自動車用のサーキット、カラオケボックス、そしてバッティングセンター・・・。飲み食いをする場所以外ではこのくらいだろうか。
 私は日本語をあまり話せなかったし、地元の人たちもほとんど英語を話す人はいなかった。名張市での私の生活は寂しいものになっていたかもしれなかった。

 しかし私は、町の人たちとの共通の話題を見つけたのだ、それがPerfumeだった。
 ほとんどの人は音楽の話しが好きだったし、町の人達が私に「どの日本のアーティストが好きか」と聞いた時、Perfumeが好きだと答えるとみな一様に驚いた。

 私の答えに対する典型的な反応の一つは「ああ!『チョコレイト・ディスコ』の!」というものだった。
 それ以来、私は町の人達とPerfumeやJポップ、その他の物事について会話をするようになった。半分はおかしな日本語ともう半分はおかしな英語で。私が英語を教えている生徒たちや他の先生達や飲み屋であった町の人達と私は楽しく過ごせるようになったのだ。

 ある出来事からこの『チョコレイト・ディスコ』はただの会話の橋渡し的なものではなくなり、私の思い出に深く刻まれることになった。
 それは同僚の女性の先生との2回目のデートの時だった。

 もう私達は名張市でのエンターテイメントにはもう飽きてしまっていた。
 ケーキを食べ、コーヒーを飲み、昼寝をする代わりにオオサンショウウオまで見に行ってしまった。もう残っているのはカラオケボックスだけだった。
 私達は学校の生徒達に見られないように町の外れにある、猫をテーマにしたカラオケボック(本当に猫がテーマなんだ)へ車を走らせた。

 日本でのカラオケボックはただ歌を怒鳴り散らす場所ではない。もっと、友達同士や家族やひと目を気にする恋人たちにプライベートな空間を与えてくれる場所だ。
 一度、中に入ってしまえば、そこから文化交流が始まる。彼女は嵐やGLAYなどのJポップの人気曲を歌い、私は日本人が知っていそうなビートルズ、マイケル・ジャクソンやカーペンターズなんかを歌った。
 そこで彼女は私がPerfumeを好きなことを思い出してしまった。彼女もファンだったのだ。

「じゃあ、一緒に『チョコレイト・ディスコ』を歌おうよ!」

『チョコレイト・ディスコ』の歌詞はPerfumeの曲の中でも、歌いやすいだけじゃなく、その歌詞の意味にも深みがある。
 この曲は日本でのバレンタインデーについての歌った曲だ。女の子が自分の好きな男の子の為にチョコレイトを買う。
 こんな馬鹿げたことが、特に高校生の世代にとっては、世界で一番重要に感じてしまう。気にしすぎて頭がどうにかなってしまうような気持ちにね。

 Perfumeはチョコレイトをあげる女の子の気持ちを歌うだけじゃなく、誰が僕にチョコをくれるのだろうと気をもむ男の子の気持ちまで歌っている。Perfumeは分かっているのだ。

『チョコレイト・ディスコ』は「楽しいダンス音楽」とよく表現されるが、歌詞からは恋に悩む恋心を歌った曲であることが分かる。
 はかなげなキーボードのメロディーとコーラスとの融合、『チョコレイト』と『ディスコ』との音節が私の張り裂けそうな心臓の鼓動とリンクしていた。

 私達は一緒に『チョコレイト・ディスコ』を歌った。
 好きな人の前で歌を歌うことは凄く怖かった。特に自分の知らない言葉で歌うときは。
 でもこの曲は彼女も一緒に歌ってくれた。
 私達はお互いに不安だったけれども、最終的にはお互いに満足感を味わうことができた。
『チョコレイト・ディスコ』は私の不安を取り除いてくれただけでなく、喜びをも与えてくれたのだ。

 私たちの関係はその後数か月しか続かなかった。
 でも『チョコレイト・ディスコ』はあの時の瞬間を今でも思い出させてくれる。あの瞬間をありのままに。
『チョコレイト・ディスコ』は単にチョコレイトをもらえるかどうかを心配している歌ではない、人生の感動を歌った歌なのだ。

※原文: One week//One band 
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Clear and Refreshing (Sonmi~451 vs. The Windup Girl: Wonder Girls’ “Like Money” and Perfume’s “Spring of Life”)の評論文の意訳

Sonmi-451 vs. The Windup Girl: Wonder Girls’“Like Money" and Perfume’s “Spring of Life”

2012年8月Clear and Refreshing
イアン・マーティン

ソンミ-451対ねじまき少女(注1)
~ワンダーガールズ『Like Money』とPerfume『Spring of Life』~

 2012年にリリースされた日本のテクノポップアイドルPerfumeの『Spring of Life』と韓国のポップスターワンダーガールズの『Like Money』。この2つのユニットは双方とも欧米のファンを獲得しようと活動を始めたばかりである。
 興味深いことにこの2曲のPVは、共に「サイボーグ」というモチーフを用いて制作されている。この2つのユニットのPVの類似点と相違点を検証するとこの2つのユニットが、自分達がファンにどのように受け入れられたいかという願望とファンが自分たちをどのように受け入れたいと思っているかということについて、彼女たちがどのように思っているかを読み取ることができる。

ワンダーガールズ『Like Money』


Perfume『Spring of Life』


 両方のPVにおいてサイボーグを主題としたこと自体、自分たちをパロディー化することによって、この手のポップミュージックが生み出されることに対する皮肉が込められていることは明らかである。
 こういったある意味自虐的な行動は、その他の疑わしい比喩的表現のようになんでも許されるフリーパスではないということは承知しておかなければならない。しかし、ここで重要なのは、彼女たちは自分たち自身をパロディー化しているが、それ自体にはあまり大きな意味を持たせないように気をつけているというところだ。
 
 これこそ私が今から述べようとしている本質だ。「お前は深読みしすぎだ」、「たかがポップミュージックじゃないか」というような考え方は一旦捨てて、「ポップカルチャーはどのように自分と他者とを受け入れているかということを如実に示すバロメーターである」という観点で見てみよう。

 ワンダーガールズが『Like Money』で演じているサイボーグはオースティン・パワーズに出てくる女性形ロボットと女ターミネーターの中間部分(注2)に位置しているものだ。この2つの共通の目的は「支配」である。しかし、ここでいう「支配」とはちょっと違う。

「お金のように愛して、車のように愛して」。これらの歌詞に込められたメッセージは、威張り腐った雰囲気と自意識の過剰さが感じられる。しかし、この物質的なメッセージ(本当にこの部分はパロディーであるのだが)は、彼女たち自身が文字通り自分たちを物質的な「物」と捉えているところにある。

「金、車、女」。そして自分たちも人を飾り立てるアクセサリーの一つにすぎないとあえて認める。この曲は欲深い消費主義社会への賛美歌だ。
「私を買って。だって私にはその価値があるから。」
 この彼女たちの自信はテレビコマーシャルのキャッチコピーのようだ。女ったらしとして名高いAKONとのコラボはさらにそれを強調する。(豆知識:Akonは温かい食事とヒョウ柄の枕カバーを買ったくれたお客さんの電話応答メッセージにあの低音バキバキのボイスで歌を吹きこんでくれるというキャンペーンを実施中だ)

『Like Money』のPVに登場する彼女たちが着ている、ヌメヌメして、すべすべで、けばけばしい体にぴったりと密着した未来的なコスチュームとメンバーの一人が操縦するバットマンに出てくるような車を颯爽と走らせるシーンにそれが如実に現れている。
 このようなぶっ飛んで、キラキラと光り輝く雰囲気は、今や粉々に砕け散ってしまったリーマンショック以前の世界の神々への祈りのようにも見える。

 一方、Perfumeの『Spring of Life』を見てみると全く違うベクトルに向いていることが分かる。
 冒頭部分からこのPVにはいろいろな意味が含まれている。昔からSFの世界では語り尽くされてきた孤独なアンドロイドの物語。『絶対故障だ、てゆうかありえない』的なアンドロイドのイメージを演じるのは彼女たちが最も得意とするところだ。

 PVの中では、ギクシャクとしてぎこちない動きをするアンドロイドの彼女たちが、食べたり、お化粧を楽しんだり、電話でおしゃべりをしたりという「普通の女の子」が普通の日常を楽しむような描写が繰り返されるが、最後にはどんなに人間そっくりであっても、決して本物の人間にはなることができないという人造人間の悲劇、つまり奈落の底に落ちていくまでが描かれている。

 「普通の女の子」になろうとして最後に失敗してしまう悲哀と儚さは、見る者の「守ってあげたい」という守護本能に直接訴えかける。このように不器用でぎこちない仕草は日本のオタク系のファンを夢中にさせる「萌え」の要素をも反映しているのだ。
 Perfumeはワンダーガールズのように我々の「お金」が欲しい訳ではない。彼女たちは我々の「愛」と「保護」を欲しているのだ。

 のっちが壁にぐったりともたれ、顔を繰り返し横に振るシーンは東欧社会主義諸国が崩壊した際、繰り返し放映されたルーマニアの孤児たちが受けた仕打ちのニュース映像を思い起こさせる。彼女の頬を伝う涙のシーンとそのバックに流れる喜びに満ち溢れたコーラスとのコントラストは秀逸だ。

 Perfumeのさらなる強みは、長年一緒に仕事をしてきた才能溢れ、非常に個性的なプロデューサーや振付師等とのチームワークにある。このチームの存在によりPVのなかでも彼女たち自身の存在感はひときわ際立つものとなっている。
 PVの中のセットは非常にシンプルなものであるが、その一つ一つは注意深く選びぬかれているものばかりで、彼女たちのダンスはスピード感に溢れ、喜びに満ちあふれている。
 曲については、最近のPerfumeの定番である旋律が繰り返されるが、考え抜かれたオフビートが最小限のテクノの旋律に滑りこみ、それが素早くチップチューンへと移り変わっていく。
 彼女たちが演じているのはただのアジア人の女性サイボーグではない、彼女たちは自分たちのアジア人女性サイボーグを作り出すことに成功したのだ。

 2つの楽曲、PVは相違点も多いが、共通点も多い。
 英語で歌っているワンダーガールズと未だ日本語歌詞に執着するPerfumeのどちらが良いかといえば喧々諤々の意見が交わされるのであろう。この点については、ワンダーガールズが初めから自分たちを売り込んでいける市場に入っていくためになりふり構わずにカメレオンのように自分たちのスタイルを変化させているのに比べ、Perfumeは自分たちのスタイル、イメージを壊さないよう注意深く行動しているということの証拠だと私は感じている。

 いずれにしても、この2つの楽曲は、PVの話は抜きにしても、女性を「愛」に対して取引的な言い方をすれば、受動的な生き物であると表現していることは明らかである。『Like Money』の愛は、攻撃的なまでの資本主義的性格に満ちた愛。『Spring of Life』の愛は、自己完成の愛だ(つまり、愛されていないということは悲劇的に不完全な生き物であるのだということを示している)。

 さらに深読みしていくと、この2つのPVには興味深い共通点が現れてくる。以前にも触れたことがあるがアジア人女性の形をしているロボットやアンドロイドといったイメージがいかに西洋人にとってしっくりくるかという点である。

 これは私が以前から不思議に感じていたのだが、これらのPVを作ったプロデューサーたちは、「西洋人はアジア人女性をみな同じに見ている」という妄想に固執しており、彼女たち一人ひとりの個性を引き立たせることを最初から諦めてしまっているのではないかとすら感じている。
 彼らこそ、「アジア人女性は、どこか卑屈で、服従的で、お人形のような生き物である」というイメージを未だに引きずっているのではないだろうか。
「西洋人がアジア人女性に持つイメージ」と「アジア人が思っている『西洋人がアジア人女性に持つイメージ』」との違いについて論じたら面白いかもしれない。
 このプロデューサーたちは、西洋人のアジア人女性に対する単純な思考回路に付け込もうとしているのか。それとも嘲笑しているのであろうか?

 この主題について、あまりに大きな意義を置きすぎたかもしれない。第一にこれは女性アイドルに限った話ではないし、日本や韓国で人気の女性アンドロイドのイメージは同じようにヨーロッパやアメリカでも人気があるからだ。しかし、この2つのユニットがこれらのイメージを利用して西洋の市場に飛び込む、少なくとも存在を示していることは、記号論的に言えば人種的な要素の可能性を見せつけられていると感じられるのだ。

 このことについてもう少し違った角度から見てみよう。長年に渡って西洋とアジアの専門家達に固められてきたSFの世界であったロボット工学と遺伝学の分野は、今やアジア、特に日本と韓国が一歩抜き出ていることについては事実だ。

 ワンダーガールズの場合、メンバーの中である種の画一性とシンクロ性をもたせており、Perfumeの場合はあえて三人には外見に特徴的な違いをもたせ、さらにその楽曲の多くにオタク系アイドル的なSFの要素とダフト・パンク(Daft Punk)の影響を受けたテクノサウンドの要素が組み込まれている。
 つまり、基本的な個人レベルで言えば、2つのユニットはかなり異なったイメージを持っていると言っていいだろう。

 今まで述べてきたように、彼女たちは今回のパロディー楽曲について、ここまでのことは考えていないかもしれない。しかし、半分冗談だとしても、彼女たちが感じているポップカルチャーについて多くのことを読み取ることができる。
 最後に、彼女たちが文化的に最も言いたかった重要なことっていうのは、「ロボットやサイボーグ、レプリカントっていうのは死ぬほどカッコイイでしょ!!」っていうことなのだろう。


原文 Sonmi~451 vs. The Windup Girl: Wonder Girls’ “Like Money” and Perfume’s “Spring of Life”

(注1) ソンミ-451:映画「クラウドアトラス」に登場する女性型サイボーグ。韓国の女優ペ・ドゥナが演じる。映画は2013年3月に公開予定。 映画クラウドアトラス 
     ねじまき少女:パオロ・バチガルピの小説「The windup Girl:ねじまき少女」に登場する少女型アンドロイドエミコのこと。日本語翻訳版『ねじまき少女』 (ハヤカワ文庫SF) より。

(注2) 「オースティン・パワーズ」に登場するアンドロイド。http://bit.ly/nsw5Hv 「女性型ターミネーター」http://bit.ly/di8HkH

capsuleアルバム『Stereo Worxxx』評 2012年3月15日付ジャパンタイムズ記事意訳

2012年3月15日付ジャパンタイムズ記事
LISTENIG POST
capsule “Stereo Worxxx”

BY イアン・マーティン
ジャパンタイムズ特別寄稿

 エレクトロポップ・デュオcapsuleの2011年のヒットアルバム『WORLD OF FANTASY』は、アルバムの前半に『The Music』のような革新的なアイディアの詰まった曲達が揃えられ、それぞれの曲がバラバラで無分別に並べられているように見えながらも(ある意味においてはきっちりと揃えてあると言えるかもしれないが)、快楽的な雰囲気、際立つビート、そしていつもどおりのメロディにほとんど意味を成さない歌詞を乗せたダイナミックなポップソング集であり、全曲BPMを128に揃えたコンセプト・アルバムであると言えたかもしれない。

 今回の新しいアルバム『Stereo Worxxx』は、前作『WORLD OF FANTASY』よりも、2010年のアルバム『PLAYER』に回帰し、ミュージシャン中田ヤスタカが、彼の今までの楽曲で培ったアイディアを昇華させ、さらにその才能で遊び狂ったアルバムと言えるだろう。

 最近、capsuleと彼がプロデュースするPerfumeとの曲調の違いが鮮明になってきたことについて不安に感じていたファンのために言っておくが、このアルバムには2つのユニットがまだ同じ土俵の中にいるとはっきりと判る要素が散りばめられている。

 『Stereo Worxxx』の冒頭の2曲、『Feelin’ Alright』と『Never Let Me Go』はPerfumeが歌ったとしても違和感はなかっただろう。この2曲は『ワンルーム・ディスコ』の焼きまわしではなく、『GAME』や『edge』のような曲を中田ヤスタカがまだ作れるということを証明してくれた。

 こしじまとしこのヴォーカルは、シンプルなメロディと叙情詩的な歌詞のモチーフにそって適度に抑えられ、そのヴォーカルを、音のトーンとテンポの移り変わりごとに、ビートとシンセサイザーが取り囲む。
 
 このアルバムは、全く正反対といってもいい『WORLD OF FANTASY』のような典型的なサウンドのリピート攻撃とイライラさせられるほど甘ったるいフワフワ感のある『JPN』のようなPerfumeのポップソングを、未完成であるものの、融合させたらどうなるかという良い例だ。

 前々作のアルバム『PLAYER』と同じように、この『Stereo Worxxx』には中田ヤスタカの映画サウンドトラック『LIAR GAME』から2曲が取り入れられている。まず『Step on The Floor』。これが素晴らしい出来だ。Perfumeの『VOICE』や前述の『ワンルーム・ディスコ』のような典型的なポップソングに仕上がっている。
 
 中田ヤスタカの作るポップソングは、素晴らしいコーラスに入る前に必要以上に長く残る平凡なメロディを聞かされることがよくあるが、この『Step on The Floor』は同じ事をやると見せかけて、約1分過ぎたあたりから新しいメロディがガンガンと我々の耳に打ち付けてくれる。

 この曲は中田ヤスタカの最高の楽曲の一つだろう。多重なメロディのアレンジとシンプルさは同居させることができるというテクノポップの素晴らしいお手本だ。
 
 2011年の『WORLD OF FANTASY』の大ヒットの余韻は2012年になってもまだ続いているようだ。
 中田ヤスタカは日本の民族音楽と『祭』のリズムのエキスを抽出し、その楽曲の中に取り入れている。『Tapping Beates』は『WORLD OF FANTASY』で培ったアイディアを取り入れ、さらにそれを昇華させている。またもう一つのサウンドトラック曲『All The Way』はタイトルトラック『WORLD OF FANTASY』の続編と言える出来栄えだ。

 その一方で、ほとんど自閉症かと思われる女性と赤ん坊が曲のタイトルを繰り返し叫び続けるという『Dee J』のような曲もある。2011年3月、『STRIKER』や『I JUST WANNA XXX YOU』という、正直なところちょっといただけないのような曲も入っているアルバム『WORLD OF FANTASY』に更に付け加えるにはあまりに馬鹿げすぎていて、中田ヤスタカもこの曲はあえて外し、今回のアルバムに入れたということなのだろう。
 しかしながら、それだけでこのアルバム全体をダメだと言ってしまうのは早計だ。

 まだまだ言いたいことはたくさんあるが、この『Stereo Worxxx』は明白な方向性と主張についてはまだ曖昧なものの、間違いなくターニングポイントとなるアルバムだ。このアルバムはcapsuleと中田ヤスタカのプロデュースするPerfumeの両方のファンの望みを叶えるのか?と思わせるものの、そこは肩透かしを食らわせる。
 
 しかし、最も重要なことは、この2つのユニットが全く相容れないものではないということが明白になったことだ。これは2つのユニットの未来にとって間違いなく良い兆しであるといえるだろう。


原文
 2012年3月15日付ジャパンタイムズ記事 capsuleアルバム『Stereo Worxxx』評

Clear and Refreshing (Perfume:Spending All My Time)の評論文の意訳

Perfume:Spending All My Time

2012年8月 Clear and Refreshing

イアン・マーティン

Perfumeの新曲『Spending All My Time』を愛するためのすべての理由。

 間違いなく数多くのファンを悩ませたこの曲、最悪であると同時に最高である理由を以下に述べたい。

「一体何なんだこれは?同じ歌詞とメロディが4分間ただ繰り返されてるだけじゃないか?これは歌なんかじゃない。なぜ英語の歌詞なんだ?Perfumeは日本語で歌うべきだろ、それが彼女たちが愛されている理由じゃないか。しかもこのサウンドは日本らしさがない、まるで90年代のユーローハウスミュージックみたいだ。全くPerfumeらしくない!」

 この曲についてこのような批判を耳にした人は多いだろう。そのようなことを言っている人を今よく見極めてほしい、ここが馬鹿を見分ける重要なポイントだ。そういった人とはもう手を切ってもいいだろう。なぜならこの批判の内容こそがまさにこの曲『Spending All My Time』の価値を端的に言い表しているからだ。

 同じ歌詞とメロディがただ何度も繰り返されてだけじゃないか。

 確かにこれは事実だ。しかしながら、この歌詞とメロディの繰り返しこそが素晴らしいのだ。
 この3年半の間、『ワンルーム・ディスコ』以来といってもいいが、中田ヤスタカの作る曲の大きな問題は、同じような楽曲を繰り返し繰り返し作り続けてきたことにある。
 もちろん非常に素晴らしく、優れた楽曲も多いが、基本的な曲の構成はミドルテンポから、急激にアップテンポへ変化し、キャッチーな声のハーモニーが続くというものだ。特に『VOICE』のコーラスについては息をのむ素晴らしさであり、そのゴキゲンなPOPサウンドは心臓が飛び出すような経験をさせてくれる。

 しかし、ここではじっくりと腰を下ろして最後まで聞いて欲しい。『Spending All My Time』はスウェーデンのロックデュオRoxette(ロクセット)のコンピレーションアルバム『Don’t Bore Us - Get to the Chorus!』の中の一曲から名前が取られていることは明らかだ。(※訳者注:このコンピレーション・アルバムの中に『Spending My Time』という曲が含まれている ○曲 http://bit.ly/QVqT3N )。
 この曲は4分間の間、素晴らしくキャッチーなコーラスで構成されている。つまり、この『Spending All My Time』はただのポップミュージックではなく、ある意味においてスーパーポップミュージックを最高に凝縮させた音楽だと言えるかもしれない。ポップ・ミュージックの魔法のエッセンスを凝縮させた麻薬なのだ。

 そしてこの曲は2007年頃の中田ヤスタカが、その音楽を作っていく過程を垣間見せてくれるものでもある。この時期はcapsuleで行なっていた手法をPerfumeでも通用するかどうかを試し始めた時期でもある。
 この年の初めcapsuleは『Feelin’ Alright』をリリースしている。この曲は曲全体がワンフレーズの歌詞を同じメロディで繰り返すという『Spending All My Time』よりも更に繰り返しが多用された楽曲だ。

 今更この手法をなぜ取り入れたのと驚くのも無理はない。私もそこに気づくまでに時間がかかった。しかし、この繰り返しの手法により、そのサウンドは多くの素晴らしい楽曲がそうであるように頭から離れなくなるのである。

 capsuleからPerfumeへと曲のアイディア流れていくことに関しては、両方のユニットにとって、お互いに新鮮な状態を保つことができるという意味において非常に有効なことだろう。

 この『Spending All My Time』は英語歌詞で歌われている。もちろん彼女たちが今後海外の市場に対して英語で歌うということにより、さらに多くのファンを獲得しようとしているということは当然理解できる。だが私はこの点においてPerfumeは英語で歌う必要性はあまりないと考えている。私はPerfumeが英語で歌うことで、今までのニッチの立場を脱却し、すぐに大ヒットを海外で飛ばせるようになるとは思っていない。

 この夏、幾つかのヨーロッパのクラブシーンでこの曲がヘビロテされたということを聞いたのは嬉しいことではある(しかし、PerfumeがアジアのVengaboys(訳者注:アムステルダムを拠点とするユーロダンス・ポップグループ)になってしまうのだけは避けてもらいたい)。

 しかし、彼女たち自身が「この曲は日本語歌詞にこそ意味がある」と言っているように、英語で歌うことについては不本意なことだと感じているのだ。

 私は、Perfumeを信奉するファンが今まで述べたような辛辣な批判を聞き、非常に心を痛めていることも十分承知している。しかし、これだけははっきりさせておきたい。

ポップ・ミュージックの歌詞には大した意味はない

ということである。

 『Spending All My Time』の歌詞は、基本的には一人の少女が永遠に誰かを愛していくという意味のものだ。このような基本的恋愛感情はJ-POPの90%以上が同じく主題にしているだろう。

 中田ヤスタカが行ったのはこのような感情に付随する感傷的で、ベタベタして、くどい言い回しの歌詞をすっぱりと削ぎ落としたところにある。
 この『Spending All My Time』の歌詞にあるような何の飾りもない生の歌詞こそ、10代の女の子の使うふで箱に書いてあるような、ふわふわして、なにかもったいぶった言い回しの歌詞よりも深い意味を読み取ることができるのである。
 さらにPerfumeのフライング・リザーズ(英国のバンド)を彷彿とさせるような意味不明でロボットのような機械的な振り付けが少女趣味的な歌詞と良い意味で相殺され、このひたむきな歌詞がより一層、聞き手の脳裏に刷り込まれるのである。

 『Spending All My Time』の歌詞を聞いて一つ気になるのは、歌詞の内容ではなく、そのリズムとの関係にある。
 Perfumeは今まで英語の発音を特に日本語的に大げさに発音してきた(「ディスコ」や「リズム」などの言葉)。この『Spending All My Time』でも同じことをしている。文法的には間違っていないが、英語的な抑揚の付け方としては間違っている。

 「Spending」という言葉は、第一音節にアクセントが付けられる。しかし、この曲ではこの言葉がメロディの中にあまりにも多く、繰り返し詰め込まれているので、彼女たちは「Spending」の第二音節にアクセントをおいて歌わなくてはならない部分ができてしまっている。これは聞く人にとっては不自然に聞こえてしまう。
 
 これをもっと英語的に自然な感じで歌うならば、不自然に聞こえる部分の「Spending」に「I」をつけて「I spend」とすれば、アクセントが第二文節にきても構わない。しかし、そこをあえてそのままにするのは、同じ文言の「繰り返し」であることを強調するということ日本人に理解しやすくするための両方の意味があるだろう。

 このような不自然な歌詞の歌い方は、McCarthy(マッカシー:英国のバンド)のように可愛らしく聞こえるものからThe Manic Street Preachers(マニック・ストリート・プリーチャーズ:英国のバンド)のように聞いていて腹立たしくなるものまであるが、常に問題となるわけではない。
 不自然なほど完璧にシンクロされた振り付けがPerfumeのイメージであり、それを売りにしている彼女たちにとって、このような歌詞の歌いまわしの不自然さは、未だ評価を待つところだが、今後も特に問題にはならないだろう。

 このサウンドは日本らしくない。

そう。ではこれまでにJ-POPが日本らしく聞こえたことがあっただろうか?
 今我々が聞いているサウンドはどれもいろいろな国から持ち込まれた音の集合体だ。『Spending All My Time』は90年代のユーロ・ハウスミュージックに似ているが、このサウンドは現在リバイバルされている真っ只中だ。
 Wonder Girls(ワンダーガールズ)の最新曲『Like Money』でも取り入れられているし、西側諸国でも力の入っている分野の一つだ。

 これこそ中田ヤスタカがやっていることなのだ。彼は現代のダンス音楽トレンドを見つけ、取り入れ、そして応用する。
 実際、外国のダンスミュージックを取り入れ、応用することによってJ-POPは成り立ってきたと言ってもいい。当時ディスコクイーンだった森高千里から10数年もの間、第一線で活躍した小室哲哉にいたるまで、1990年代の半分はこのようにして形作られてきた(後の半分は小林武史によって作られた。彼はビートルズやピンク・フロイドを取り入れることに時間を費やしすぎたが)。

 『Spending All My Time』は、確かに今は日本らしくないかもしれない。 
 しかしそれはこの分野の音楽はまだマーケットでは新しいサウンドだからだ。日本のポップ音楽は今まで全く手付かずのあるいは特定の写本筆写者だけが改竄を許され、代々受け継がれてきたような秘密の教本的な古典ではない。聞く者により、真似され、取り入れられ、応用され、そして再構築されてできたものがポップ・ミュージックなのだ。

 この曲はPerfumeらしく聞こえない。

 これについても同じことが言える。『リニアモーターガール』は『モノクロームエフェクト』には似ていなかったし、『edge』も『チョコレイト・ディスコ』とは似ていなかった。
 彼女たちの出す楽曲が同じように聞こえてくるようになったのはここ最近のことなのだ。今、彼女たちがちょっと違うことをやってきたという事実は非常に歓迎されることだ。

 中田ヤスタカの楽曲の中では彼女たちの役割は基本的に「スピーク&スペル(訳者注:キーボードに文字を打ち込むとそれを読み上げてくれる教育用玩具)」に毛の生えたようなもので、中田ヤスタカの使うシンセサイザーやその他の楽器と同じ立場だということを彼女たちが望んでいなかったかもしれないということは容易に想像できる。

 Perfumeが今まで確立してきたコンフォートゾーン(しかし、考えてみれば実際に確立したものといえばコマーシャルソングに安心して使える音楽だということを証明したにすぎない)からあえて外に踏み出すということに不安を感じているファンもいるだろう。だが、そういった古い楽曲たちが無くなってしまうわけではないのだから、今までの曲は今までどおり聴き続け、そしてこのちょっと違った新曲を純粋に楽しんでみようじゃないか。

原文 Perfume: Spending All My Time


Dream Fighterの英語カバーHemenwayの歌詞を逆翻訳してみました。

Dream Fighter

英語歌詞 Hemenway
歌詞和訳 Mat

僕たちは最高を目指して、この果てしなく続く旅を続けていくんだ
これが正しいことだって確信してる
だってこれしか僕たちの生きていく道はないんだから
OhYeah もしも現実がキミをどん底まで叩き落としたとしても、キミはまっすぐに前を見て僕たちのことを見つけられると信じてるさ
僕たちはここにいるんだから

「普通の生活」を手に入れた人達ってさ
僕もそういうふうになりたいって考えてたこともあるよ
でも突然分かったんだ、誰も「平凡な人生」なんて望んじゃいないって
ここにあるものは何一つ僕を満足させるものはないんだ

キミが「この現実に満足してる」って言えるその瞬間まで、遥か先まで絶対に止まらない
ためらいは禁物だよ

僕たちは最高を目指して、この果てしなく続く旅を続けていくんだ
これが正しいことだって僕には分かってる、だってこれしか僕たちの生きていく道はないんだから

もしキミが人生につまずいたとしても、キミが絶対に諦めないってことは知っているよ
僕たちは一緒に走り続けるんだから
僕たちはドリームファイターなんだ

「この現実に満足してる」って言えるその瞬間まで、遥かその先まで止まらないよ
怖がることはないよ

僕たちは最高を目指して、この果てしなく続く旅を続けていくんだ
これが正しいことだって僕は確信してる、これが僕たちの生き方なんだ

もしキミが人生につまずいたとしても、絶対に諦めない強さがあるってところを見せてくれよ
僕たちは一緒に走り続けるんだから

僕たちが毎日流す涙だって人生の宝物さ、この先の道を輝かせてくれるんだ
だから絶対にあきらめないで、倒れそうになった時は僕の手を掴めばいい

OhYeah もし現実がキミをどん底まで叩き落としたとしても、キミは顔を上げて、ここに来てくれると信じている
僕たちはドリームファイターなんだ

原曲動画


Dearm Fighter
Song:Yasutaka Nakata
Lyric: Hemenway

We're still reaching for the best on an endless journey that's ahead of us
I'm sure that this will prove us right, cause that's the only way we can be alive
Oh yeah if this reality beats you up and knocks you down until the end
I'm sure you’ll look straight and find out that we are, we are still right here

Hey everyone is reaching for the “Normal life”
I've been thinking about it and then it came to me
Nobody is wishing for mediocrity
Everything in its right place isn't still enough for me

Until the moment you can say you are satisfied with your reality
Go Go Go far away
Do not hesitate

We're still reaching for the best on an endless journey that's ahead of us
I'm sure that this will prove us right, cause that's the only way we can be alive
If you have troubles in your life I'm sure you have the strength to never give it up
We will keep on running together
Woo, We are dream fighters

Till the moment you can say you are satisfied with your reality
Go Go Go far away
Do not be afraid

We're still reaching for the best on an endless journey that's ahead of us
I'm sure that this will prove us right, cause that's the only way we can be alive
If you have troubles in your life
Show me you have strength to never give it up
We will keep on running together

Woo, and the tears that we spill for everyday are treasures of a lifetime that will shine our way
So please don't ever give it up
Just take my hand if you feel like falling down
Oh yeah, if this reality beats you up and knocks you down until the end
I'm sure you'll still be right here looking up
We are Dream Fighters


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Author:Mat
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